かけ出し日本語教師 in 中国

28歳独女、中国で奮闘中です

知り合い

タイトルに困ったので

本日のタイトルは、覚えたての中国語です。

昨日の初級会話(1年生)の授業で、「○○しか~ません」(例:2人しかいません)という答えを想定して「日本人の知り合いがたくさんいますか。」という質問を投げかけました。

「知り合い」という語は未習だったので、簡単に「私はみなさんを知っています。みなさんは私を知っています。知り合いです。」と説明したあと、「中国語で何ですか?」ときいてみました。

みんなから口々に「ren shi」とか「ren shi de ren」とか、同じようなのが返ってきたので、わかってくれたようだな、と先に進めることにしました。

授業後に、学生たちから聞いた「音」を頼りに、ケータイにピンインを入力して確認してみましたが、うまく変換できたので、やはりこれでよかったみたいです。

 

知り合い:认识,认识的人

 

学生たちに、私は「中国語のできない日本人」として認識されているので、このように授業中に中国語の単語や発音を教えてもらうことがちょいちょいあります。

みんな親切心から、毎度ゆっくりはっきり発音して教えてくれます。

というか、私の変な発音を聞いておもしろがっているようにも見えます笑

 

一大事件発生

おととい、ここに来てから私にとって最大の事件が起こりました。

結論から言いますと、来学期、この大学の日本人教師は私一人になります

学科主任から電話でそれを聞かされたときの衝撃ときたら…驚きのあまり、驚くのを忘れるくらいでした。

 

この大学にはいろいろと問題行動の多い同僚の日本人教師が一人いるのですが、彼はたびたび、伝説ともいえる事件の数々を残してきました。

しかし、今回ばかりは、単に「事件」では片づけられない問題を起こしました。

というか、問題どころじゃありません。犯罪です。

 

誰を撮っても盗撮は犯罪です

彼が何をやらかしたのかというと、盗撮です。

もちろん、対象が誰であれ盗撮はいけませんが、百歩譲ってまったく無関係の人を撮るならまだしも、学生を盗撮したというのですから許せません。

しかも、以前からかなり常習的にいろいろな一般女性を隠し撮りしていたようです。

被害に遭った学生と一緒にいた学生が私の家に来たときに、防犯カメラの映像を見せてくれましたが、とても手際よく撮影しているのが確認できました。

 

今回のことは、学生(女子)2人とその教師の国内旅行中に発覚しました。

その教師は各地の博物館をめぐるのが趣味なのですが、発覚の発端となったのは、ある博物館の中でベンチに並んで座り、映像資料を視聴していたときとのこと。

暗がりの中でいきなり隣でフラッシュが光ったので、不思議に思った学生が先生のほうを見ると、手に持っていたカメラが学生のほうを向いていたというのです。

 

その日の学生の服装は、上から下まで前面をボタンで留めるタイプのロングワンピースだったとのこと。

カッターシャツとかでもそうですが、ボタンが縦並びの服って、横から見ると(場合によっては正面から見ても)服の中身が見えてしまうことってありますよね。

この学生もそこまで気が回らなかったようで、うっかりボタンとボタンの隙間から下着が覗いてしまっていたようです。

しかも、座っていたので上だけでなく下の下着まで見えていたらしく、先生のカメラは学生の股間を向いていたとか。

 

もう一人の学生が帰りのバスで問いただすと、一気に顔面蒼白になり、「いや、撮りましたけどあなたたちじゃありません!別の人です!いえ、撮っていません!撮りましたけど消しました!」など、非常に動揺した様子で、しどろもどろで支離滅裂な言い訳をしたといいます。

 

そして学生が先生から離れ、バス車内の別の席へ移動して座っていると、これまた苦しい釈明のメッセージが届いたそうです。

「あなたたちを不快にさせたことは謝ります。しかし、誤解しているようです。私は普通の中国人の姿を写真に撮っています。あなたたちの写真も撮っています。その過程で写り込んでしまった不適切な写真は、その都度消去しています。」

「今回の旅行の写真はすべて消してしまいました。」

学生たちはそのメッセージには返信しなかったと言っていました。

 

原因は教師だけにあるわけじゃないけど

今回のことは、もちろん学生の側にも非はあります。

危機管理意識が低すぎです。

仮にも相手は男性なのですから、服装にも、そして一緒に旅行へ出かけること自体にも、充分に注意を払う必要がありました。

 

ですが、学生たちの意識が低くなってしまうのには、理由があります。

この学校の歴代の日本人教師はみんな「おじさん先生」「おじいさん先生」ばかりで、とても優しく親切な、問題を起こすような教師ではなかったと聞いています。

これまで、多くの学生たち(大半が女子学生)が、この教師を含む何人もの日本人男性教師と旅行をともにしています。

また、中国ではこの教師のような50代半ばの男性はすでに「初老の男性」と見なされるそうで、「真面目な日本人のおじさん先生」からセクハラを受けるなど、考えもしなかったようです。

 

なおかつ、被害に遭った学生は本当にこの教師のことを心から信頼、尊敬していたので、疑うことなど思いつきもしなかったことでしょう。

それを最悪の形で裏切られることになり、学生の負った心の傷の大きさたるや、計り知れません。

 

この不祥事の後、事件を知った別の学生たちが私の家に来ました。

この学生たちも、問題の教師とは頻繁に会って食事したり、何度か旅行したこともあるのですが、

「自分たちも先生の前で服装に気をつかったことは一度もないし、旅行するのに注意しようなど考えたこともなかった」

「自分たちも先生からそんな目で見られていたり、不良写真を撮られていたかもしれないと思うと、本当に怖くなった」

ということを話していました。

 

信じていた人に裏切られる気持ちって、どんな感じなんだろう。

 

私はまだまだ経験の浅い教師ですが、言いたいことがあります。

教師は、学生(生徒)を不安にさせるようなことをしてはいけない。

もし、この件が学生たちの思い違いであったとしても、学生たちがその教師の言動のおかげで、かなり不安な思いをしたことは、まぎれもない事実です。

 

自分もこれまで数々の失敗をしてきましたが、日々の言動にもっと気を配らなければならないな、と考えさせられました。 

 

動いてくれる人は少ない

一緒に旅行していた学生はどうしても先生のことが許せず、大学側に、その教師の解雇を求めました。

しかし、はじめに相談した学科主任も、(私たち外国人教員を管轄している)大学の国際交流部も、あれこれと理由をつけてなかなか動いてくれなかったとか。

 

学生が今回の件で何がいちばん驚いたかというと、大学の対応についてだそうです。

指示通り、何が起こったかをパソコンで打ち出して報告書を提出することはしたそうですが、そこからの大学の対応がかなり遅い。

学生の身の安全を守る存在であるはずの大学が、どの部署も自分の利益を守りたいがために、事態を大きくしたくない、めんどくさがっている態度がまるわかりだったといいます。

 

学生は「もう少し待ってもまだ学校が動いてくれないなら、証拠の防犯カメラ映像を警察に出します!」と言って帰っていきました。

警察まで出動したら国際的なニュースになって、彼は一躍、時の人になりますよね笑

 

急展開

しかし、なんとその次の日、学科主任から私に電話があり、「さっき彼から電話があったんですけど、今学期いっぱいで退職するそうです。」と告げられました。

退職理由は「体調不良」とのこと。

 

国際交流部の処置を待っていた段階でしたが、その決断を待たず、自分から退職する形をとったようです。

確かに、解雇されたという経歴が残れば、帰国後の職場復帰(確か高校)も難しくなるでしょうし、依願退職なら、自分のしたことを教育委員会から追及される可能性も低くなるでしょう。

リスクを最小限に抑えたご判断かと。

 

ちなみに、私はただの一(いち)外国人教師なので、このような大きな判断を学生たちに伝える立場にありません。

学生たちは、来学期に授業担当者を見るか、風の噂で聞くことで知ることになるでしょう。

 

残された身

中国の新年度は、日本の4月始まりとは異なり、9月(8月末)からです。

6月の今は、学年度末にあたります。

 

日本と年度の始まりが違うということは、こちらの新学期に向けて新しい日本人の教師を探そうと思っても、タイミングよく来学期から来てもらえる人が見つかる可能性は非常に低いということです。

 

そうなると、必然的に日本人教師は私一人になりますし、それに合わせて他の先生方の授業担当も考え直さなくてはいけないし、その結果、開講授業の種類も減ってしまうという事態が起こっています。

 

そして、私の来学期の担当授業がめっちゃ多くなった/(^^)\

今からもう、来学期ちゃんと生き延びられるかどうか自信がないです笑

 

というか、いちばんの被害者は残された学生たちです。

私しか日本人がいないということは、それだけ、学生たちが得られる生の日本語のインプットが少なくなるということです。

そうなると、「私の日本語」が学生たちのすべてになってしまう。

 

 

私の責任が今まで以上に重大になって、非常にプレッシャーを感じ、追いつめられた気分になっている

ということが、現在私の中で最も強い気持ちです。

 

まあ私にできることをやっていくしかないですね。

poco a poco、ケ・セラセラですね。